実習で使われた方も多いと思われますが、アルミトレーは、より正確な印象を採るために患者さんの顎の形や歯列の幅に合わせて、手やプライヤーなどで力を加えて変形させたり、金切りはさみで切断して使用します。
ステンレス製や樹脂製の製品や、アミトレーの変形範囲では対応が出来ないが、レジン製個人トレーを作るほどでもない場合に有効です。
これまで、12種セットという消耗が見込まれる製品には不適切な形で販売しておりましたが、各5個入での販売を開始しました。(2026年8月)必要なタイプのみを適価でお求めいただけるようになりました。
アルミトレーを再認識していただくため、以下で使い方の紹介をさせていただきます。
■変形の手順
- 不具合箇所の確認
最初に、変形前のトレーを患者さんの口に入れ、接触している個所や隙間が空きすぎている個所を確認します。 - トレーの幅の調整
歯列の幅が広い、または狭い場合は、トレーの左右を両手で持って、外側に広げたり内側に狭めたりします。 - 縁の変形
小帯(ひだ)が当たる部分や、深く入りすぎて患者さんに痛みを感じさせる部分は、プライヤーなど*を使って外側に広げたり、内側に折り曲げたりして高さを下げます。 - 不具合箇所の再確認と調整
再び、患者さんの口に入れて、痛みを感じさせる部分がないか、印象材が均一に入る隙間があるかを確認し、問題がなくなるまで繰り返します。*矯正用のプライヤーを使用する場合は、バードビークプライヤーやヤングプライヤーが適しています。

■変形の注意
- 金属疲労に注意
何度も同じ場所を曲げ伸ばしすると、金属疲労で折れてしまいます。ある程度は消耗品と考えて無理な再使用は避けてください。 - 鋭利な部分の発生に注意
曲げたことにより鋭利な部分が生じて、患者さんの粘膜を傷つけることがあります。曲げた後は指で触って、必ず確認をしてください。必要に応じて、ユーティリティワックスなどを縁に接圧して危険な部分をカバーします。
■切断
既製のサイズや形状の変形ではどうしても患者さんに合わない場合、金切鋏などで切断加工して使用する手段があります。
具体的には、以下のような目的や症例で行われます。
■切断が必要なケース
- 部分床義歯や孤立歯など局所的な印象
フルサイズのトレーでは奥行が長すぎる場合、遠心に対応する後縁部分を切り落として短くし、必要な部位だけにフィットさせることができます。 - 嘔吐反射の強い患者さんへの対処
患者さんによっては、トレーの後縁部分の接触が嘔吐反射を誘発するため、この部分を切り落としてコンパクトに変形させ、負担を軽減することができます。 - 歯や装置との干渉回避
残存歯、インプラントのパーツや矯正装置などがトレーに当たってしまう場合、その部分だけを丸くまたはスリット状に切り抜いて干渉を避けることができます。 - 小児や顎堤が極端に小さい患者への対処
既製モデルの最小サイズでも大きすぎる場合、外縁全周を切り落として一回り小さくすることができます。
■切断の注意
- 切断面のバリ取り・研磨
切断したアルミの端面は非常に鋭利で、患者さんの粘膜を傷つけるリスクがあります。切断面は必ずヤスリや研磨ポイントで滑らかにし、指で触って完全に安全であることを確認したのち、切粉を除去します。 - ユーティリティワックスでの保護
研磨、清掃した後に、切断部の周辺にユーティリティワックスなどを厚めに圧接し、切断面が直接粘膜に触れないよう保護します。 - トレーの剛性低下を留意
大きく切り抜いたり切断した場合、トレーの強度が落ちて、印象材を圧接するときにトレーがたわわみ、型採りの精度が落ちることがあります。変形を留意して慎重に圧接する必要があります。

